<<正しい良い音>>とは?
  “音の良悪判別法”を解説
  

 「音の良悪判定術」を身につけておくと、オーディオ購入・調整・評価の際非常に便利だ!!  筆者が30年かけて編み出した「聴き分け方のコツ」を解説する。1時間もあれば評論家並みの耳に飛躍するので、是非マスターして欲しい。
 
「音の良悪判定術」解説 
 
 人間の可聴帯域は約20〜20k(Hz)。最近の音声合成研究により、人間のスピーチやセリフをスペクトラム分析した研究報告書が数多く発表されている。
  
 人間の声は、喉の奥で発せられる共鳴音の「母音」と、口先の炸裂音とも言うべき「子音」とで構成されているが、日本語は「言語」の中でも大変珍しい「母音言語」である。
 「母音=アイウエオ」の一字一字に意味があり、「イ」の字だけでも約40種の意味がある。もし話し手が「イ」と発音した時、どの「イ」なのか、そのニュアンスを表現できない音響システムは決して良い音とは言えない。
 スペクトラム的に、低音域に「母音」の「アイウエオ」と高音域に「子音」の「サシスセソ」が分布し、その中間中音域に「カキクケコ」や他の子音成分がある。
 「母音」の基本波成分は男は120Hz(女は250Hz)から3kHzに、「子音」の有声音・無声音を含む高調波成分は1kHzから10kHzに多く分布している。
 
 スピーカーから「子音」の「サシスセソ」が「ザジズゼゾ」と濁ることなく、「母音」の「アイウエオ」がのびのびと豊かに再生されれば、暖かくさわやかに心の伝わる正しい音である。日本の「母音言語」が美しく表現できれば、世界中の「子音言語」も正しく表現できることは言うまでもない。もし「子音」と「母音」の中間「カキクケコ」が大きく飛び出していると、トランペット・スピーカーのように中音周波数帯域が出っぱった「キャンキャン」「キンキン」と耳障りな「拡声器の音」になる。
 
 一方「音楽」についてスペクトラム分析してみると、「アイウエオ」を豊かに表現できるシステムなら同帯域の「メロディ」は豊かな奥行き感が得られ、「サシスセソ」を美しく表現できるシステムなら同帯域の「リズム」は爽やかな切れ味が得られ、ジャンル(クラシック・ジャズ・ロック・ディスコ・ポップス等)を選ばず、表現豊かな音楽性を引き出すことが出来る。また「映画ドラマの効果音」も同様、「アイウエオ」帯域の「基本波成分」も「サシスセソ」帯域の「高調波成分」も自然に生々しく表現出来る。
 更に豊かな[重低音]がプラスされるなら、音楽も映画もサウンド演出は完璧となる。
 
「正しい音」判定・3条件
 
@日本語の「サシスセソ」(子音)が「ザジズゼゾ」「ジャジュジョ」と濁らないこと。
A日本語の「アイウエオ」(母音)が細く痩せずに、のびのびと豊かに表現出来ること。
B全帯域エネルギッシュな「立上がり」と、奥行き広がりの美しい「余韻」が得られること。